新車をディーラーで購入されたお客様から、「車検証を見たら所有者欄が自分の名前ではなく、クレジット会社の名前になっている。これは間違いではないですか?」というご質問をよくいただきます。実はこれ、間違いではなく、ローンやクレジットで車を購入した場合のごく一般的な取り扱いです。
所有者と使用者の違い
自動車検査証(車検証)には「所有者」と「使用者」の二つの欄があります。
- 所有者:法律上その自動車を所有する人または法人
- 使用者:実際にその自動車を使用・管理する人
現金一括で購入すれば、所有者と使用者は同じ人になります。しかしローンで購入した場合、代金完済までの間は車の所有権がディーラーやクレジット会社に留保されます。これを「所有権留保」と呼び、車検証の所有者欄にはクレジット会社等の名前、使用者欄にお客様の名前が記載されます。
自動車税は誰が払うのか
地方税法第146条は、自動車税種別割の納税義務者を「自動車の所有者」と定めています。この原則だけ見ると、所有権留保のケースではクレジット会社が納税することになりそうですが、実際の納税通知はお客様(使用者)に届きます。
これは、地方税法第147条が「自動車の売買契約において売主が所有権を留保している場合は、買主を自動車の取得者および所有者とみなして自動車税を課する」と規定しているためです。いわゆる「みなす課税」と呼ばれる仕組みで、
ローンで買った車は、車検証上の所有者がクレジット会社であっても、税法上は買主を所有者とみなして課税する
という構造になっています。実務では「使用者課税」と表現されることもあります。
中古新規等で自動車販売業者が所有権留保、使用者課税となる場合、自動車販売業者は当然に古物商許可を保有していなければなりません。税事務所がその販売業者を古物商として把握していない場合は、古物商許可証のコピーを求められる場合があります。
「勤めている会社や知人から借金して買った車」は使用者課税にできるか?
ここからは少し応用編。お客様からよくいただくご質問の一つに、「勤めている会社や親族・知人からお金を借りて車を買い、車検証は親=所有者・自分=使用者にしている。自動車税は自分(使用者)が払う扱いにで きるか?」というものがあります。
結論から申し上げると、使用者課税にできません。
親が子に「車の購入資金として◯◯万円貸す」という金銭消費貸借契約だけを結び、車自体はディーラーから子が買って親名義で登録するケース。あるいは親が買って親名義のまま子に使わせるケース。これらは譲渡担保に近い構造、または単なる「車の使用許諾」となり、地方税法第147条の「売主が所有権留保している場合」には該当しません。
したがって、原則どおり所有者である親に自動車税が課税されます。「税金は子が払う約束だから」と口頭で取り決めても、納税義務者は法律上変わりません。

